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  3. ピアニスト・伊藤 仁美さん・全国各地で幅広く活躍するピアニスト

白内障の手術で近視も遠視も解消
楽譜もよく見え、難しい曲にも挑戦したい

クリニックで行われたチャリティーコンサートの準備をするクリニックスタッフと伊藤さん。
チャリティーコンサートを終えて、中村院長とのツーショットと、一緒にコンサートを作り上げたスタッフとの記念写真。この日だけは、「患者と医者と医療スタッフ」ではなく「ピアニストと主催者とコンサートスタッフ」という仲間として力を合わせた。

高校進学を機にピアノの道を選んでから、明確な希望も野心もないまま、ただがむしゃらに「もっとうまく弾きたい」「もっと弾けるようになりたい」という一心でピアノに向き合ってきた伊藤さん。音楽に対するその純粋で一途な情熱が、伊藤さんの演奏を聴く人の心を動かし、周りに求められるのかもしれない。そうして周囲に求められるまま、演奏の幅や活躍の場を広げてきた伊藤さんは、実は子供の頃から、視力に大きな問題を抱えていたそうだ。

伊藤さん「私ね、実は小学校2年生の頃から近眼だったんですね。それで、ずっと楽譜もよく見えない状態で、これまできたんです。眼鏡やコンタクトも欠かせなかったんですけれども、それでもよく見えなくて。度数の強い眼鏡をかけると鍵盤が歪んで見えるし、鍵盤がまっすぐ見える眼鏡だと、楽譜が読みにくいしで、本当に苦労して楽譜を読んでいたんです。そこに老眼や白内障が重なってしまって。でも、名古屋アイクリニックで中村先生に診ていただいて、2018年と2020年に、1年くらい間をあけて片目ずつ、白内障の手術をして遠近両用のレンズを入れていただいたんです。それから、本当に近くも遠くも、なんでもよく見えるようになって!今まで楽譜を読むのが億劫だったんですけど、これからは難しい曲も読みやすいかなと、すごく楽しみなんです」

―― 若い頃よりも状況がよくなっているんですね!ますます意欲的に活動できそうですね。今後はどのような活動をされるのでしょうか。

伊藤さん「2023年はちょうど、ギロックの没後30年になるんですね。以前からギロックオーディションという活動を続けているんですが、没後30年の記念オーディションやコンサートを企画し、5月28日には熱田文化小劇場(名古屋市熱田区)で、ギロックの曲とギロックのめざした名曲というのを一緒にして、ギロック協会の会員たちで演奏会を開催しました。2023年はそうしたイベントが中心になります」

―― ギロック以外にも、今後もやりたい活動や弾いてみたい曲はあるんでしょうか。

伊藤さん「はい。『芸術は長し人生は短し』といいますけれど、本当に、まだまだやりたいことは山ほどあるのに、命は限られているからちょっと寂しいですね(笑)。でも、音楽をやっていて一番いいのは、毎日が新しい発見だというところですね。終わりはないです。目を手術して楽譜も楽に読めるようになりましたし、これからいろんな曲をできるなとは思っています」

ピアニストとして自ら演奏するだけでなく、伊藤さんは指導者としても、時代に合わせて柔軟に活動の幅を広げている。指導してきた生徒さんたちの演奏家デビューをサポートするために、「イントロデュースコンサート」も、30年近く続けている活動の1つだ。チラシ作りやマネージメントを伊藤さんが請け負い、コンサートでも半分ほど伊藤さんが演奏する。2023年3月26日にも、また一人、伊藤さんのもとから巣立った新しい演奏家のコンサートが開かれたという。

また、YouTubeで丁寧なギロックのレッスン動画をアップしたりするなど、ネットを使った新しい指導にも積極的だ。You Tubeで「伊藤仁美 ピアノ」と検索すれば、伊藤さんの素晴らしい演奏のほんの一端を聴くことができるのだ。伊藤さんの自由でしなやかな音楽への向き合い方が、このような多様な活動につながっているのだろう。

伊藤さんのホームページの中に「言葉が尽きたところから音楽は始まる」という言葉がある。言葉というのは、何かを伝える際に主観が入ったり、ぴったり当てはまる言葉がなかったりして表現には制約がある。でも、音楽というのは国や文化の違いを超えて、言葉で伝えられないものもそのまま伝えることができる、というような意味だそうだ。伊藤さん自身、小さい頃は人前でうまくしゃべれなかったが、音楽をやってきたから、言葉でうまく言えないことを表現できて、辛いことも耐えてこられたという。

「『表現する』ということにおいて、音楽に勝るものはないような気がしますね。一生、音楽に携わっていけたらいいと思います」明るい笑顔でそう語る伊藤さん。視力を取り戻した目で今後も多くの楽譜を読み取って、豊かな演奏を生み出し、人々の心を動かすことだろう。

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