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目に関するQ&A

Q.二日前からまぶたが腫れてきて触ると少し痛みがあります。どうしたらよいでしょうか。

A.いわゆる「ものもらい」かと思います。眼科を受診し、適切な治療を受けてください。

■ものもらいとは
「ものもらい」とは、まぶたに炎症を起こして腫れてくる疾患のことをいいます。
「ものもらい」とは俗称であり、地域によっては「めばちこ」「めいぼ」ともいわれ、学術的には「麦粒腫」と「霰粒腫」の二つに大別されます。

■麦粒腫
 麦粒腫とは眼瞼に付属する腺組織に細菌が感染することによって起きる、感染性炎症疾患です。まつ毛に付属する皮脂腺(Zeis腺)と汗腺(Moll腺)に感染する外麦粒腫と、マイボーム腺(涙の成分のうち油分を分泌している腺)に感染する内麦粒腫とに分けられますが、いずれも抗菌剤の点眼、眼軟膏、内服薬などで治療を行います。悪化すると膿が溜まってかなり痛みを伴うので、切開して膿を出すといった治療を行うこともあります。

■霰粒腫
 霰粒腫とはまぶたの中にある瞼板という支持組織内にあるマイボーム腺に炎症を起こすことによって脂肪肉芽腫が貯留する状態で、こりこりと「しこり」のようなものを触れる疾患です。
 眼科の教科書には「非感染性無痛性炎症性肉芽腫」と表記されているように、麦粒腫と違って細菌感染によって起きるものではなく、マイボーム腺が何らかの原因で詰まることに起因する炎症性疾患で、マイボーム腺内に炎症によって生じた脂肪肉芽腫という脂肪の塊のようなものが貯留して、その部分がしこりとして触れます。
 通常、痛みを伴うことはないのですが、霰粒腫のでき始めの頃や瞼板を突き破って皮膚側にも炎症を起こすと赤く腫れたり、痛みを伴ったりすることもあります。
 また、結膜側にも炎症が及ぶと「葉状霰粒腫」といって結膜に肉芽腫が茎上に出てくることがあります。
 治療方法ですが、霰粒腫のでき始めの頃は痛みを伴い腫れるため、麦粒腫との見分けがつかないことが多いので、まずは麦粒腫の治療に準じて抗菌剤の投与を行います。
 抗菌剤治療で完治すれば麦粒腫ということですが、腫れや痛みが引いてもしこりが残る場合は霰粒腫に準じて治療方法を切り替えます。
 霰粒腫は「炎症性肉芽腫性」といわれるように炎症性疾患のため、抗炎症剤であるステロイド剤の点眼、眼軟膏で改善します。5ミリメートル未満の小さなものであればステロイド剤で経過をみますが、しばしば治療するまでに数ヶ月以上要することがあるため、5ミリメートル以上の大きなものや、5ミリメートル未満の小さなものでもなかなか改善しない場合は、切開してマイボーム腺内の脂肪肉芽腫を摘出するといった外科的手術が必要になるケースがあります(霰粒腫の大きさ、皮膚側に出ているか結膜側に出ているかによって、皮膚切開法で行うか結膜切開法で行うかどうか、やり方が変わってきます)。
 また、40歳以上であれば脂腺癌などの悪性腫瘍との鑑別が必要です。しこりが黄色っぽいもの、表面がデコボコしていて出血しやすいものなどは要注意です。
 霰粒腫は日常よくある疾患なのですが、なかなか改善しなくて、完治するまでに数ヵ月、場合によっては1年以上もの時間を要したり、外科的手術をしても10%くらいは再発したり、違うところにもできたりするので、医師も頭を抱えるような意外とやっかいな疾患です。
 まぶたが腫れてきたり、しこりを触れたりするようであれば早めに眼科受診をして適切な治療を受けてください。

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