A.頭が痛くなって吐き気がする病気は、頭の病気も十分考えられますが、それに伴って片目の充血やかすみによる視力低下を認めたのであれば、急性の緑内障発作が考えられます。とくに、それまでメガネをかけたことがない中年の女性の場合、その可能性は高くなります。すぐに眼科を受診してください。
　
■急性緑内障発作
 緑内障は自覚症状がないまま進行する慢性のものがよく取り上げられますが、急性のものもあります。急性緑内障発作はすぐに失明する恐れもあります。
 もともと目の中には角膜（黒目）や水晶体（茶目の奥にある人の目のレンズ）に栄養を送るために常に房水という水が流れています。この水は虹彩（茶目）の裏側でつくられ、瞳孔（黒目）を通って虹彩の表側に出て、虹彩の付け根の部分にある隅角部から流れ出し、最後には静脈に吸収されます。この房水の流れる道が狭くなり、うまく水が流れていかなくなると、目の中に水がたまり、急激に圧力がかかって固くなります。急に圧力がかかると透明だった角膜に水がたまり、すりガラス状になってかすみますし、白目の充血も起こります。そのまま放置しますと目から脳へとつながる視神経が傷み、失明してしまいます。
 最近の治療は、主に房水の流れる道を狭くしている水晶体を摘出する白内障手術をすることで、ほぼ再発を防ぐことができます。ただし、白内障にまだなっていない若い方や、白内障手術が難しい方には、虹彩の一部に穴をあけ、裏側にたまった房水を排水口へと流す通り道をつくることができる人もいますが、また再発する可能性が残されます。　
 ただし、長い時間目に圧力がかかり、視神経がすでに傷んでしまった場合には、治療で圧が下がったとしても見えにくさが残る可能性がありますので、おかしいと思われたら早急に眼科にかかり、眼圧を確認することをお勧めします。また、虹彩の一部に穴を開けただけでは圧が下がらない人もいますので、その場合は他の処置や手術が必要になることもあります。