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目に関するQ&A

Q:高校2年の男子です。最近視力が悪くなり、眼科に行ったら乱視が強くメガネでは良い視力が出ないと言われました。何か異常があるのでしょうか。

A:円錐角膜かもしれません。専用の検査機器がある施設で精密検査を受けてください。

円錐角膜とは、10代から20歳代に発症することが多い病気です。角膜がもともと弱いために、眼内の圧力に負けて徐々に突出してきてしまう病気です。カメラで例えるとレンズの働きをする角膜が歪むため、進行すると視力が下がります。
円錐角膜は若いほど進行しやすく、進行とともに視力が低下するとメガネでは矯正できなくなります。アトピー性皮膚炎やアレルギー性結膜炎で目をこする癖のある方は、進行が早いと言われています。
円錐角膜は一旦進行してしまうと元に戻らないため、適切な時期に適切な治療を受けることが非常に重要です。

■角膜クロスリンキング(進行予防治療)
角膜の強度を高めるための治療です。視力は若干改善傾向にありますが、基本的に進行予防の治療であるため、著しい改善は期待できません。このため、進行期にあたる患者さんに対して、重症化を防ぐことを目的として行います。

■各種ハードコンタクトレンズ
円錐角膜が進行すると、ハードコンタクトレンズでの視力矯正が必要になります。若いうちからハードコンタクトレンズに慣れて使えるようになっておくことが重要であるため、装用指導も含めた処方が必要です。軽症の方から重症の方まで対応できるように数種類の円錐角膜用レンズを用意し、どうしてもハードレンズになじめない方には、ソフトコンタクトレンズの上にハードコンタクトレンズを乗せるピギーバックという方法を用います。これで多くの方は異物感なく装用することができます。

■特殊コンタクトレンズ
ボストンレンズは角膜に触らず強膜(白目の部分)で支えるため、異物感がほとんどないのが利点です。円錐角膜の重症度が高く、長時間ハードコンタクトレンズが装用できない場合や、若いうちは通常のハードコンタクトレンズができたが、年齢とともに目がすぐに痛くなり装用できなくなった場合に処方します。基本的にはずれることがありませんので、仕事内容などによって、通常のハードコンタクトレンズがずれて装用しづらい方にも処方しています。
ミニスクレラルレンズ(i-sight)は基本的にはボストンレンズと同じ強膜レンズです。メリットは小さくて装用しやすいことですが、重症な円錐角膜には向かないというデメリットがあります。
ハイブリッドコンタクトレンズ(EyeBrid Silicone)は中心部がハードコンタクトレンズで、周辺部がソフトコンタクトレンズ素材でできています。両方のレンズのいいとこ取りをしたようなコンタクトレンズで、装用感に優れ、屈折矯正効果も高いです。デメリットは耐久性が低く半年~1年で交換が必要になる点です。ユーソフトは日本製の特殊ソフトコンタクトレンズです。通常のソフトコンタクトレンズよりも分厚く、それによって角膜の歪みを矯正します。

■角膜内リング
角膜内リングは、角膜内に透明なリングを入れて、角膜の形状を改善させ、乱視などの角膜の歪みを矯正する方法です。ハードコンタクトレンズが装用できず、少しでも裸眼視力を改善させたい方に適しています。ただし角膜リングでの矯正効果はハードコンタクトレンズよりは劣るので、重症度が高い方には不向きです。またハードコンタクトレンズのフィッティング改善という目的で手術する場合もあります。円錐角膜の方は、角膜が突出しているために同じ場所がコンタクトレンズで擦れて傷ができ、痛くなったり角膜が白くなって見づらくなることがあります。この手術で角膜の突出をやわらげ、コンタクトレンズが乗りやすくすることもできます。

■トーリックICL
円錐角膜の進行が止まっている方向けの屈折矯正方法です。ICLは、目の中に入れるコンタクトレンズのような薄いレンズで、厚生労働省承認です。目の中に入れるので、レンズの取り換えや洗浄などが必要なく、一生目の中に入れることが可能なものです。
ただし、矯正可能なのは、メガネでもある程度視力が出る軽度の円錐角膜の方が対象です。

■角膜移植
ハードコンタクトレンズでも視力が十分に矯正できない場合、角膜移植が選択肢になります。手術時間は約1時間で、深層角膜移植術という、角膜の悪い部分のみを取り替える、拒絶反応が起きにくい術式を行うことが多いです。角膜は国内ドナーおよび海外ドナー(多くはアメリカアイバンクから)のどちらかが選択できます。また日帰りでの角膜移植も可能ですが、入院しない代わりに術後1週間は頻回に通院する必要があります。

 

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