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目に関するQ&A

Q:先日、息子が緑色だといってもってきた色紙が茶色でした。時々他の人に色の間違いを指摘されることもあります。どうしたらよいですか。

A:先天性色覚異常の可能性があります。色覚を専門とする医師のいる病院を受診し、色覚異常の有無や程度を調べることをお勧めします。

■色覚異常とは
網膜には色を感じる錐体という細胞があります。錐体には、主に赤色(長波長光)に敏感に反応するL錐体、主に緑色(中波長光)に敏感に反応するM錐体、主に青色(短波長光)に敏感に反応するS錐体があり、これらの錐体が正常に機能しないことによって色覚異常が生じます。生まれつきの先天色覚異常と、網膜の病気によって引き起こされる後天色覚異常ありますが、一般的には先天色覚異常のことを言います。

■色覚異常の人は色がわからない?
色覚異常はかつて色盲と言われており、言葉のイメージから「色がわからないので、白黒の世界に住んでいる」「特定の色を感じることができない」と思っている人がいますが、全くの誤解です。色の感じ方が異なるため、「ある特定の色と色」を区別する力が弱いだけで、色がないとか色がわからないわけではありません。ただし、瞬時に判断を求められる時、注意力が欠けているとき、遠くのもの(本人にとって面積が小さなもの)を見た時、薄暗い場所でなど、悪い条件の下では正常の人に比べて色を間違える可能性が高いので注意が必要です。

■先天色覚異常は男性に多い
先天色覚異常は、男性で5%(20人に1人)、女性では0.2%(500人に1人)と、男性に多く認められます。
これは男性がX連鎖劣勢遺伝の形式を取るからです。
男性はX染色体とY染色体を一つずつ、女性はX染色体を二つ持っており、色覚異常の遺伝子はX染色体上にあります。男性はX染色体が一つのため、色覚異常の遺伝子があった場合には必ず色覚異常となりますが、女性の場合はもう一つのX染色体が正常の場合はほぼ正常色覚(保因者)と、二つ揃わないと色覚異常になりません。

■色覚異常は治りません
今のところ先天色覚異常を治すことはできません。ただ、先天色覚異常は悪くなることもありません。色覚補正メガネというものがありますが、これはあくまでわかりにくい特定の色を見分けやすくするだけであって、正常色覚の人と同じように見えるようになるわけではありません。

■色覚検査は必要
先天色覚異常は、自分で自分の異常に気付きにくいため、色覚異常が疑われる場合、色覚異常の有無や程度を検査することはとても大切です。色覚検査により、自分がどの程度の色覚異常であるかを知り、どういった色を間違えやすいかを自覚することで、支障なく社会生活を送ることができると思います。
小学校で行われていた色覚検査は2003年に一旦廃止になりましたが、就職時や就職後になって初めて自身の色覚異常を知り困った事例が多く報告されたため、2016年度よりまた積極的に行われるようになりました。

 

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