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目に関するQ&A

Q:5年くらい前に糖尿病と言われましたが、特に気にしていませんでした。1週間ほど前から左の目がぼーっとして急に見えなくなりました。何が起きたのでしょうか。

A:おそらく糖尿病による網膜症が発症したものと思われます。すぐに眼科を受診し、眼底検査などを受けてください。

■糖尿病網膜症は中途失明原因の第一位

糖尿病の合併症として有名なものに「糖尿病網膜症」という病気があります。特に30代から40代で発症すると非常に予後が悪く、失明に至る確率も少なくありません(我が国の中途失明原因の第一位となっています)。この理由として、若いがゆえに病気の進行が速いということもありますが、社会的にも中堅層で会社では中間管理職の役割を果たしていることが多く、なかなか治療に専念できないことが挙げられます。仕事を重視するあまり、家庭での食事、規則正しい生活ができなかったり、接待などの偏った食事やお酒の飲みすぎで病気を悪化させています。しかし、ことの本質は病気の怖さを認識していないことにあります。患者さんは、自覚症状が出る前は、自分が「目が悪い」などと思ってもいないですし、症状が出てもさほどひどくならない間は、身体は元気なので「大したことないさ」とタカをくくっています。そして血糖値が高いまま、節制することなく過ごしていると、急に目が見えなくなることもあります。

■糖尿病網膜症はどのようにして起きるか

目には網膜という大事な部分があります。カメラでいうとフイルムに当たりますが、この部分にはたくさんの血管が走っています。糖尿病が進行すると、網膜の血管が障害を受け、破れたり詰まったりします(糖尿病網膜症)。出血すれば眼底出血となり、血管が詰まれば、その血管が栄養を送っていた部分の網膜は栄養障害に陥り、網膜細胞は死んでしまいます。したがって、そうならないように代わりの血管が急いで作られます。これは新生血管と呼ばれ、「栄養が欲しい」という身体の防御反応として起こる現象ですが、少しもありがたいことではありません。一見すると助け舟のように見えますが、実はくせものなのです。なぜなら突貫工事で作られた血管なので、もろくて破れやすいのです。さらにあっという間にとぐろを巻いてニョキニョキ伸びていきます。これが破れると硝子体出血と言って、眼球内いっぱいに血がたまり、視力低下をきたします。もし出血がひいてもすぐ出血し、また新生血管が伸びるという悪循環が起こります。この時点でも、すでに予後不良なのですが、「そろそろまじめに治療しようかな」とでも思えばまだ救いがあります。しかし、この期に及んでも気に留めない人はもう手遅れです。放置しておけば、やがて眼球内に増殖変化が起こり、網膜剥離となります。また、新生血管緑内障というどんな治療にも抵抗する緑内障になり、ついには失明してしまいます。


 

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