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目に関するQ&A

Q:白内障の手術はかなり進化したと聞いていますが、手術時間や痛み、入院などについて教えてください。

A:手術時間は一般に10分前後、痛みはほとんどなく、必ずしも入院は必要ありません。


■手術時間は10分程度

現在の一般的な白内障手術(超音波乳化吸引術:後述)では、手術時間は10分前後と短時間で、痛みはほとんどありません。
3ミリメートル以下の小さな切れ目から手術をすることが可能になったため、以前主流であった大きな切れ目から行う手術方法に比べ、合併症(手術に伴う危険性)も少なく、手術後の視力回復も早くなり、格段に身近な手術になりました。施設によっては入院せずに、日帰りで手術を受けることもできます。しかし、白内障が非常に進行している方や、以前目にケガをしたことがあり、目に損傷がある方など、場合によっては大きな切れ目から行う手術方法(嚢内摘出術ないし嚢外摘出術:後述)を行わなくてはならない場合もあります。この場合は原則として入院が必要で、手術時間も45分前後かかることになります。

■手術方法

現在主流となっている白内障手術は、超音波乳化吸引術というものです。以下に私たちの施設で行っている手術方法について解説します。
まず、角膜ないし角膜と強膜(白目)の境目に約2.4ミリメートルの切れ目を入れ、水晶体全体を取り囲んでいる透明な膜(水晶体嚢)の前側を丸く切り取って窓を作ります。この窓を通して超音波発振器を使い、水晶体の中身(水晶体皮質+核)を超音波で砕きながら吸い出すと、透明な膜が袋状に残ります。水晶体の濁った中身を吸い取ったことで光が目の奥によく入るようになり、ものが明るく見えるようになりますが、このままでは元々目が持っていた凸レンズがなくなったことになり、レンズのないカメラではピンぼけ写真しか撮れないのと同様に、ものがはっきり見えません。そのため、この残った袋を入れ物として利用する形で、その中に人口の凸レンズ(眼内レンズ)を入れます。
眼の中を専用の水でよく洗って、最後に傷を閉じて終了しますが、傷が小さいため、縫う必要がないことも多いようです。この方法は傷が小さいため、乱視を作りにくいこと、術後短時間で良い視力が得られること、出血がほとんどないこと、合併症が少ないことなどが特徴として挙げられます。
その他に、嚢内・嚢外摘出術というものがあります。水晶体を砕かずに丸ごと取り出す手術で水晶体嚢を残すのが嚢外、嚢ごと取り出すのが嚢内摘出術です。したがって水晶体と同じくらいの大きさの切れ目が必要で、手術時間も若干長く、手術後に乱視を生じたり、視力回復に時間がかかることもあります。現在では超音波乳化吸引術ができないような場合にのみ、この方法を使います。

■再発の可能性は

通常は再発の可能性はありません。ただし、超音波乳化吸引術または嚢外摘出術の場合、残した水晶体嚢が濁って来る場合があり、手術後約半年~1年以降に起こってくることが多く、後発白内障と呼ばれます。症状としてはかすみ、まぶしさ、視力低下など白内障に似ていますが、再手術などは必要なく、レーザーを使って濁っている嚢を飛ばしてやれば元通り視力が回復します。外来で5分程度ですむ処置で、痛みはなく、もちろん入院も必要ありません。一度濁りを取れば、その後再び濁ることはありません。

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