眼科119番

Eye Rescue 119

「目の不安」専門医がお答えします

  1. ホーム
  2. 眼科119番
  3. カテゴリー絞り込み(目に関するQ&A)
  4. Q:白内障の目薬を点していますが、効果はありますか?

目に関するQ&A

Q:白内障の目薬を点していますが、効果はありますか?

A:白内障の進行を若干遅くする効果が期待できます。しかし、白内障を治す効果はありません。


■白内障とは

人間の目はよくカメラにたとえられますが、カメラのレンズにあたる部分は水晶体と呼ばれます。水晶体は目の前の方、虹彩(茶目)のすぐ裏にあって、凸レンズの形をしており、光を曲げてピントを合わせ、物をはっきり見ることに関係しています。この水晶体は、主にたんぱく質と水から成る細胞でできており、常に水晶体の外側(水晶体皮質)で新しい細胞が作られ、古い細胞がしぼんで内側(水晶体核)に蓄積されるといった新陳代謝が行われています。このため年々老廃物がたまっていくことになります。水晶体は若いうちは透明ですが、年齢とともに徐々に変性し、濁ってきます。
この水晶体の濁りが白内障で、光が目の奥に入っていくのを邪魔するため、カメラのレンズが汚れていてはきれいな写真が撮れないのと同様に、見にくさの原因になります。

■症状

眼のかすみ、ぼやけ、まぶしさ、疲れ目、近眼、老眼などが起こります。濁った部分によって、光が水晶体を通過して目の奥に届くのが妨げられるため、かすみなどの視力低下を感じることがあります。また、中央部分が主に濁っているタイプでは、明るいところで黒目が小さくなる(縮瞳する)と見づらく、薄暗いところで黒目が大きくなる(散瞳する)と逆に見やすいといった現象が起きることもあります。一般に水晶体は年齢とともに濁りが強くなり、厚みが増して凸レンズの度が強くなり、より硬くなることから近視や老眼が白内障と同時に進むことも少なくありません。ただし、これらのような症状があるからといって、必ずしも白内障とは限りません。同じような症状が、網膜剥離などの、放っておくと急激に悪くなる病気の初期症状であることもあるため、ほかに異常がないかどうか、まずは受診することをお勧めします。

■目薬による治療

一般的な白内障すなわち老人性白内障は、一種の老化現象ということができ、老化を防ぐ薬がないのと同様に白内障を目薬で完全に防ぐことはできません。現在ある白内障の目薬はどれも若干進行を遅くする場合はあっても進行を完全に止めるものではなく、もちろん一度進んでしまった白内障を治す効果もありません。したがって白内障を根本的に治すには、手術治療しかありません。

■手術による治療

白内障は、数カ月、数年という時間をかけて徐々に進行するもので、一般には白内障の診断を受けたからといって、すぐに手術を受けなくてはいけないということはありません。ただし、あまり進行してしまうと、痛みがなく、短時間で済み、日帰りが可能な手術ができなくなる場合があります。また、白内障が進むと水晶体の厚みが増し、そのせいで急性緑内障発作を起こしたり、その危険性が高くなる場合があります。そういった点からも、むやみに手術を先延ばししたりせずに、適切な時期に手術を受ける必要があります。
一般的な経過としては、前述のような異常(初期症状)を感じたら早めに眼科を受診し、検査・診察を受けて他の異常がないか確認し、白内障の診断を受けます。その後は白内障の進み具合を見たり、ほかの異常が起きてこないか見るために定期な受診を開始し、必要に応じて目薬を用います。そして前述のように、目薬をしていても徐々に白内障は進行するため、時期を見て手術に踏み切ることになります。手術の時期は、患者の職業や見え方に対する要求などによって異なり、個人差が大きくありますが、一般的には自動車運転免許の更新に必要な矯正視力0.7を割ってきたら、そろそろ手術を考えるということが多いようです。白内障は特殊な場合を除けば、何が何でも今すぐ手術といった状況は少なく、手術に適した時期を医師が伝え、患者本人がその必要を感じて手術の決心をしたときが手術をするとき、ということになります。
また、手術前後の通院・入院に際しては家族の協力も必要なため、家族の理解・同意も欠かせません。
 

眼科119番トップに戻る

PAGETOP