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目に関するQ&A

Q:この頃目がびくついてなかなか治りません。治す良い方法はありますか。

A:安静にしても改善しない場合は内科的治療、外科的治療も試みられますが、効果は不安定です。このような症状に対しボツリヌス毒素をまぶたの周辺に筋肉注射することにより改善を図る治療がなされ、一定の効果をあげています。


■眼瞼痙攣とは

目がびくつく状態を眼瞼痙攣といいます。
目の周りには眼輪筋といって、まぶたを開けたり閉じたり、まばたきをしたりするときに使う筋肉があります。眼瞼痙攣とは、この筋肉が自分の意志とは関係なく動いてしまう病気で、中高年の女性によく起こります。はっきりとした原因は、現在のところ不明ですが、これらの多くはドライアイを併発しています。
はじめは下まぶたがぴくぴくすることから始まりますが、次第に上まぶたに移行します。その後、刺激感や不快感とともに、まばたきが多くなってきます。さらにまぶしさや精神的な疲労などによって悪化し、もっとひどくなるとまぶたを強く閉じるようになり、日常生活に支障をきたすようになります。これら症状の進行は比較的ゆっくりしていますが、そのまま放置しても自然に治ることはまずありません。

■治療方法

心身の安静、サングラスの装用や人口涙液などの点眼により、ある程度症状は軽くなりますが、根本的には改善しません。また、対症療法として、筋弛緩剤や抗不安薬を内服したり、顔面神経ブロックを行ったり、まぶたの筋肉や神経を部分的に切除したり、脳外科的な手術などが行われていますが、効果が不安定であったり、副作用などのためにあまり行われなくなりました。
そこで近年、眼瞼痙攣に対しボツリヌス毒素による新しい治療が試みられるようになりました。これは痙攣しているまぶたの筋肉に、痙攣を抑える作用を持つボツリヌス毒素を注射する治療法です。ボツリヌス菌は、一般的には食中毒の原因として知られていますが、この菌から発生する毒素は、神経を麻痺させることにより持続的に筋肉を弛緩させる作用を持ち、これにより様々な中毒症状を引き起こします。しかし長年の研究の結果、この毒素を少量だけ抽出し、痙攣している筋肉に直接注射することで、その筋肉がゆるみ痙攣が収まるという作用を利用できるようになりました(Ⓡボトックス)。本薬剤は1989年に米国で承認され、日本においても1996年に眼瞼痙攣の治療薬剤として、2000年には片側顔面麻痺の治療薬剤として承認されています。ただし、現在は講習と実技セミナーを受講した医師のみに使用が許されています。
治療としては、痙攣を起こしている眼輪筋に4~6カ所ごく少量打つだけで、5分程度で処置は終了します。その効果は2~3日後より現れ、通常2~3ヵ月持続します。効果が減弱し、眼瞼痙攣の症状が再び出てきたら再投与します。



 

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