目に関するQ&A
Q:老眼は遠視とは違うのですか?
A:手元にピントを合わせる調節機能が年齢とともに衰えた状態を老眼(老視)と呼び、一種の老化現象です。 遠視はピントが遠くにも近くにも合わない屈折異常ですから、全く違った状態です。
■調節とは
目は、焦点を合わせることによって像をとらえるビデオカメラに例えられます。角膜、水晶体の2枚のレンズによって光を集め、網膜というフィルムに像を結ばせ、その像を視神経というコードで脳に送り、物を認識しています。水晶体というレンズは、カメラでいうオートフォーカスの機能を果たしており、毛様体という筋肉でその厚みを変えることにより、遠くから近くまでピントが合うように、いわゆる「調節」をしています。
■老眼は調節機能が衰えた老化現象
加齢に伴い水晶体の弾性が低下して、この調節力が減退し、近方視が困難になった状態が老眼(老視)です。一方遠視は角膜などのカーブが弱かったり、眼軸という角膜から網膜までの距離が短いため、網膜上に焦点を結ばない状態で、子供にも多く、老眼とは異なる屈折異常です。調節力は10歳を超えたころから、すでに減退し始め、43歳前後で手元が見にくいと自覚し始めます。そして60歳を過ぎたころには調節力はほぼなくなります。
■近視の人は老眼にならないか
近視の場合はもともとかなり近い距離まで見えるため、老眼が出ても近くを見ることができ、老眼を自覚せずにすむことがあります。このため、近視は老眼にならないと言われるのですが、メガネなどで遠くにピントを合わせれば、当然近くは見えにくくなります。
そのため遠近両用メガネが必要になるのです。
そのため遠近両用メガネが必要になるのです。
■老眼はどのようにして始まるか
老眼の初期症状としては「夕刻になると目がショボショボ、ゴロゴロする」、「午後以降に軽い頭痛や肩こり、目の奥の痛みや項部痛がある」、「薄暗い場所で手元が見づらい、離して見る必要が出てきた」などがあります。これらを自覚したら、一度眼科を受診して近見視力(手元の視力)を測定し、必要なら弱い老眼鏡を作成するとよいでしょう。無理をしてメガネなしで過ごすことは、眼精疲労の原因になるだけで、目にとってよいことはありません。
■老眼鏡にはどのようなものがあるか
老眼鏡には近用のみのレンズのほか、遠近両用メガネもあります。遠近両用には初期老眼に適している二重焦点レンズ、中期以降の老眼の場合には中間距離もカバーできる三重焦点レンズ、最近では塁進屈折力レンズ(バリラックス)も多く用いられます。塁進屈折力レンズのメリットとしては、徐々に加入度が強くなるため、全領域で焦点が合うこと、また継ぎ目がないため美容上での利点もあります。一方手元のピントの合う領域が狭い、横を向いたとき歪みを感じる、遠視・正視の人は慣れにくいなどのデメリットもあります。眼科医や眼鏡士に相談し、ご自身に合ったレンズを選択するとよいでしょう。
■老眼対応のコンタクトや眼内レンズはあるのか
最近では遠近両用コンタクトレンズもよいものが開発され、50歳以上のコンタクトレンズ使用者の約10%が使用していると言われています。ただし乱視は矯正できず、瞳の大きさが影響することもあって、どの距離も今ひとつすっきり見えない、ぼやける、などの不満が多いのも事実です。
最近の話題として、最も注目されているものの一つに「多焦点眼内レンズ」があります。このレンズを白内障手術の際、眼内に入れることによって、術後はメガネなしで遠くも近くも見ることができます。つまり一種の老眼矯正治療と言えます。
最近の話題として、最も注目されているものの一つに「多焦点眼内レンズ」があります。このレンズを白内障手術の際、眼内に入れることによって、術後はメガネなしで遠くも近くも見ることができます。つまり一種の老眼矯正治療と言えます。