１つの距離にピントを合わせる単焦点眼内レンズに対して、焦点を２つ、あるいは３つ備えているのが多焦点眼内レンズです。国内で多焦点レンズは２００２年から使用されるようになりました。
 
２焦点の場合は、近くと遠くの２つにピントを合わせることができます。これは、眼に入ってくる光を近くと遠くに振り分 けることで、２つの距離に焦点が合うように設計されているか
らです。近くとは  30 ～ 40㎝、遠くとは３～５ｍくらいの距離をいいます。これによって遠近両用メガネをかけずに過ごすことも可能になりました。レンズの種類によっては、例えば車の運転中には信号や道路標識はもちろんのこと、カーナビも裸眼で見えるようになります。仕事で書類を見たり、ゴルフやテニスなど遠くと近くを見る機会の多いスポーツを楽しんだり、現役バリバリでアクティブに活動している人は、いろいろな場面でメガネをかけたり外したりといった煩わしさから解放され、快適に過ごせるようになるでしょう。ただ、私たちが日常で見ている距離は、料理をしたり
パソコンを見たり、買い物の際には商品表示を見るなど、近くと遠くの中間（ 50 ～80 ㎝）を見るシチュエーションが意外と多いのです。そのため、２焦点ではメガネが必要になる場面も出てきます。
そこで登場したのが３焦点レンズです。これは近くでも、中間でも、遠くでもピントが合いますので、生活するうえで必要なピントをすべてカバーできるようになります。現在のところ、最も進んだレンズといえます。また、単焦点眼内レンズでも紹介しましたように、ピントの合う範囲を少し広くした焦点深度拡張型の多焦点眼内レンズも出ています。これは、遠くの見え方の質を落とさずに中間まで見えやすいのが特徴です。